幽霊美容室
久しぶりの客。
「あ、どうぞどうぞ。」
俺は飲みほそうとしていたコーヒーを片手に持ったまま
その突然来たお客様をとりあえず席に案内する仕草をした。
「あの…切ってもらえますか?」
変な客だ。
こちらはどうぞって言ってるのになかなか席に着こうとしない。
片手に持ったコーヒーが気に食わないのか?
ミルクティーだったらよかったのか?
「はい!もちろんですよ。うちは美容室ですから。」
少しおどけた様に応えた俺にその客は
なんだか驚いたような安堵を示すかのような表情で
少しずつ席に向かい始めた。
「本当に切ってもらえるんですね?」
なんだか変な客だ。
何よりもその風貌だ。
とにかく伸ばしに伸ばしたような長い黒髪。
腰ぐらいまであるだろうか。
毛先を見る限り美容室自体が久しぶりという感じで
伸ばしているって言うコトバよりも
伸ばし放題にしたって言う方が正しい感じ。
グルメリポーター風に言うならば"髪の毛のバイキング"やな。
俺はそんな下らないことを考えながらその客を席に案内し
ようやく腰をおろさせた。
「いらっしゃいませ。今日はどうしますか?」
そう言いながら鏡越しに客の顔を覗き込む。
「あの…切りたいんです。」
分かりましたよ。そうでしょうとも。
うちは美容室ですからね。
パーマだろうがカラーだろうが、
何にせよこの手入れしてない髪は
とにかく毛先だけでも切らないとって感じですよ。
にしてもこんな客が来るから
うちは"幽霊美容室"だなんて言われちゃうんだろうな。
頭に三角の白い布でもつけようなものなら
誰がみたって完全に"正統派幽霊"。そんな風貌の客だった。
「かしこまりました。毛先を整える感じでよろしいでしょうか?」
ここまで伸ばした髪だ。
それはそうだろって勝手に決めつけながら
とりあえずクシを手に取り相棒を握った瞬間だった。
「あ、どうぞどうぞ。」
俺は飲みほそうとしていたコーヒーを片手に持ったまま
その突然来たお客様をとりあえず席に案内する仕草をした。
「あの…切ってもらえますか?」
変な客だ。
こちらはどうぞって言ってるのになかなか席に着こうとしない。
片手に持ったコーヒーが気に食わないのか?
ミルクティーだったらよかったのか?
「はい!もちろんですよ。うちは美容室ですから。」
少しおどけた様に応えた俺にその客は
なんだか驚いたような安堵を示すかのような表情で
少しずつ席に向かい始めた。
「本当に切ってもらえるんですね?」
なんだか変な客だ。
何よりもその風貌だ。
とにかく伸ばしに伸ばしたような長い黒髪。
腰ぐらいまであるだろうか。
毛先を見る限り美容室自体が久しぶりという感じで
伸ばしているって言うコトバよりも
伸ばし放題にしたって言う方が正しい感じ。
グルメリポーター風に言うならば"髪の毛のバイキング"やな。
俺はそんな下らないことを考えながらその客を席に案内し
ようやく腰をおろさせた。
「いらっしゃいませ。今日はどうしますか?」
そう言いながら鏡越しに客の顔を覗き込む。
「あの…切りたいんです。」
分かりましたよ。そうでしょうとも。
うちは美容室ですからね。
パーマだろうがカラーだろうが、
何にせよこの手入れしてない髪は
とにかく毛先だけでも切らないとって感じですよ。
にしてもこんな客が来るから
うちは"幽霊美容室"だなんて言われちゃうんだろうな。
頭に三角の白い布でもつけようなものなら
誰がみたって完全に"正統派幽霊"。そんな風貌の客だった。
「かしこまりました。毛先を整える感じでよろしいでしょうか?」
ここまで伸ばした髪だ。
それはそうだろって勝手に決めつけながら
とりあえずクシを手に取り相棒を握った瞬間だった。