君のこれからを僕にください
「高橋こんなの嫌だよ・・」

あたしは涙目でいった。

「あたしが好きな高橋はこんなんじゃない・・」

高橋が触れたところが熱い。
ずっとずっとあたしの中に押し込めてきた感情が今にも溢れそうだった。
そんなあたしの気持ちに気がつかないでいてくれる高橋が一番居心地が良かった。

家族も居なくなってあたしが唯一帰れる場所は高橋しか居なかった。
色んな感情の前に高橋のところにしか帰る場所がなかったこの3年間。
親戚のところでお世話のなるより、高橋の側にいることを選んだ3年間。

でも高橋にとってあたしは生徒でしかなく、
あたしもそれ以上は望んでいなかった。

高橋は色んな生徒を救える教師だということはあたしが一番分かっていた。
だから・・だから・・
このままの関係が少しでも長く続いてくれることを毎日毎日母のお墓の前で祈っていた。

「夏希・・ごめん・・俺生徒に・・」

「あたしは平気。でも高橋は汚れちゃだめだよ」

部屋には沈黙が流れた。

「あたしは高橋の1番の生徒でいたいよ」

あたしは少しシワの寄った制服をのばして、
高橋の家をでた。

あたしはこの先、高橋に気持ちを伝えたりしない。
もし伝えるときは高橋の前から消えるとき、そう心に決めていたから。


出会ったあの日から。

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