君のこれからを僕にください
高橋先生へ

私、永岡夏希は本日仲本学園を卒業します!
約4年間お世話になりました。

今まで色んなことがあったけど、やっぱり先生がいたから
乗り越えてこられたよ。

本当にありがとう。

今日で先生の生徒を卒業するので、
あたしの本当の過去や気持ちを先生には知っててもらおうと思います。

あたしの父親はあたしとお母さんを見捨ててどこかにいってしまいました。
それからあたしはお母さんと2人。
でもあたしは幸せでした。

お母さんの影響でバレーボールをはじめたのは小学校のときです。
中学校1年のときにお母さんの病気がわかりました。

このときから絶対負けない自分になろうって決めました。

そしてどうしても部活で勝って報告したかったんです。

それまでは母も生きてるからって約束してくれました。

だからあたしは必死でした。
ただただ勝って報告したかったの。

最後自分の足が動かなくなったとき、
お母さん、先生、みんな・・・本当にごめんって思いました。

最後の最後で動かない足をうらみました。

病院で母の死を知ったとき、
あたしは遂に1人になったんだって本当に悲しかった。

でもあたしは1人で暮らす道を選びました。
それは・・

それは、先生の近くに少しでもいたかったからです。
もう家族もみんな居なくなってしまったし、
だからこの先は自分がいたいところにいようって思ったの。

だから、つまり・・あのね。
あたしは先生のことが大好きでした。

誰よりも側にいたかった。

高校生になって、何もなくなったからこの3年間は先生の側にいようって決めたの。

先生がキスしてくれたあの日、本当はとてもとーっても嬉しかったよ。

でもね、先生はあたしだけの先生じゃない。
他の生徒にも必要な先生なの。

でもあたしは先生から沢山の思い出をもらったよ。
だからね、先生がいなくても大丈夫だよ。

もう会うことないと思うけど、元気でね!

愛してるよ。

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