君のこれからを僕にください
読み終わる前にせっかくの手紙はぐしゃぐしゃになってしまった。

夏希の小さい手にこれ以上何を抱え込む気なの?

弱くせに人に一切そんな素振りも見せないで、
またそうやって夏希は僕から離れていくんだね・・。

誰よりも夏希を必要としているのは僕のほうだった。
小さくて弱いのにいつも輝いていて、
気がついたら僕の側にいた。

夏希の色んな決意を僕は知らないまま、
こうやって夏希との別れの日を迎えてしまった。

こんなことなら無理やりでも抱いてしまえばよかった。
誰かに夏希を取られてしまうくらいなら、
僕が夏希を奪いたかった。

今になってこんなにこんなに好きなのに、
どうして夏希はもうここにはいないんだろう。

僕は一体4年間を何に費やしてきたんだろう。

もう僕は夏希のことを生徒とは思えなくなっていた。

世界で一番愛しい人でしかなかった。

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