君のこれからを僕にください
その後すぐに親戚の人が夏希をつれていってしまった。
親戚の方が言うには、既に朝に意識がなくなり昨晩から夏希もずっと付き添っていたらしい。
母親と試合と天秤にかけることは責任感の強い夏希には出来なかったのだろう。
ほとんど睡眠もとらないまま、足も痛いまま、
夏希は今日の試合に臨んでいた。

僕は夏希のことは他の先生や周りの大人よりずっと理解していると思っていたし、
夏希の支えに教師をしてなれていると思っていた。

しかし夏希が背負っていたものは僕が想像してたよりずっとずっと大きくて、
ずっとずっと夏希を悩ませたに違いない。


そんな事実が僕は嫌で嫌で仕方なかった。

夏希は葬儀のため1週間近く学校を欠席した。
学校もテスト期間になったため、部活がない時間が続いた。

放課後保健室のドアが開くたび、夏希ではないかと期待したが夏希が来ることはなく、夏休みが来てしまった。

大会が終わってすぐ、準優勝ではあったけれども仲本学園の歴史で運動部が
入賞したということでたくさんの生徒や父兄、教職員の方からお褒めの言葉をいただいた。

そんな声をかけてもらう度に、
こんな風になったのは夏希が必死に頑張った結果でそれまではバレー部に見向きもしなかった回りに僕はイラついた。


部活のない間僕が感じていた充実感はどこがに消えてしまっていた。



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