コスモス―いちごの香り―
ふと窓をみた。


「雨、激しいんだ……。」

この激しさだ、起きない方が変だろう。

そういえば、さっきの叔父さんは、私を助けてくれたんだ…。


じゃあ私は私の家に帰らなきゃいけないはず――、
でも、思いだせない…
生まれた場所も、家族の記憶も、更には自分の名前までもが… …。


ザーー。


何か、帰る場所覚えてないのに私、 冷静だな…。
何でだろ? ああ、さっきの叔父さんの顔が優しいからだ。


あの顔を見たりするだけで凄く落ち着くんだ――。

スパッ


襖が、先程の叔父さんにより、開かれた。

片手にはお盆に湯飲みが二つ乗せてある。

一つは、叔父さんのものだろう。


「お待たせ、お飲み。」

やっぱりだ…優しい顔だ…。
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