思い出は消えない
屋上に行ったのは

先生が言っていた

萩夜の余命の前の日だった。

点滴をさし、酸素マスクを付けたままの

自分では動かせない萩夜の体を

先生が車椅子に乗せてくれた。

「行っといで!」

「…サンキュー。」

萩夜は力のないかすれた声で

先生に言った。

屋上には、

沢斗がついてきてくれた。
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