もしも私に魔法が使えたら【短編集】
「期待していいよ」
「それって……」
ノーじゃないよね?
「野村、俺、初めて会ったときから好き。野村は?」
「……夏休み前から」
「なんだ俺の方が先じゃん」
そう言って彼は私にキスをした。
思い返してみれば、人懐っこいのは、女子の中じゃ私くらいだったのかもしれない。
私、期待しやすいんだからね?
多分、手がかかるよ?
あなたはそれでも構わない?
――君とのキスはチョコの味。
END