もしも私に魔法が使えたら【短編集】
うんうん、面白い子は嫌いじゃないよ。
「じゃあねー」
でも薄情者だ。
あっさり置いていきやがった。畜生。
「お、偉い偉い残ってんだな」
「アンタが言ったんじゃん」
「ははは、ってか、前野だっけ?」
苗字も忘れたって?
「美奈葉だよ」
「ミナハ、ね」
「何よ」
「いンや、変わってねーなって」
え……?
「覚えてるの!?」
「まぁな……」
「よか、った……」
なんだか安心して涙が出てきちゃったよ……。
「ミナハ……相変わらず涙脆いんだな」
「バーカ!」
「ミナハ、お帰り」
「ただいま」
大好き、誰よりも、この人が……。
そう、昔私はこの人に恋したんだ。
まだ私がここにいた頃……。
私たちは仲良かったんだ。