もしも私に魔法が使えたら【短編集】
――――11年前
「さきにいちゃん!!」
「おーミナハ!」
当時五歳の私と、高校受験真っ只中の早紀兄ちゃん。
「あそぼー」
「ごめんなー俺勉強しねぇといけねんだ」
「えーやだぁ、ミナハとあそぶのー!!」
「ったく、仕方ないな。
遊んでやれないけど、家来るか?」
「いいの?」
「ああ」
早紀兄ちゃんはいつも優しくて、私の我が侭聞いてくれた。
「おじゃましまーす」
「あら、美奈葉ちゃんいらっしゃい
アンタ美奈葉ちゃん連れてきて勉強できんの?」
「適当に相手しながらやるからへーき」
こんな勉強法でもトップ校に行ってしまった早紀兄ちゃんは凄いと思う。
「ミナハおいで」
「わーいっ」
そんなお兄ちゃんが大好きだったんだ。