もしも私に魔法が使えたら【短編集】


でも、私引っ越さなきゃならなくなって……。

「やだぁ!ミナハさきにいちゃんとこでくらすもん!!」

「ミナハ!」

「さきにいちゃん……ミナハとかけおちして!」

「「「は?」」」

そこにいた全員目が点だ。
あ、勿論当時の私は深く考えてなかったからね。

「駆け落ちって……」

「ミナハひっこすのやだ!」

「ミナハ!わかったから……」

お兄ちゃんは優しいからいつも私の我が儘聞いてくれるんだ。

「ミナハが大きくなったら会いにおいで。
俺な、先生になりたいんだ、高校の」

まだ私に、その言葉の意味わからなかったけど……
その言葉があったから私こうして早紀兄ちゃんのいる高校へたどり着けた。

ありがとう。

――――

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