恋するマッシュルーム
「タローくんおはよう!さっきお風呂借りちゃいました。朝からごめんね?」
人の家のお風呂で朝っぱらから汗を流した事に何だか申し訳なさを感じてしまい、とりあえず朝一で謝ってみる。
「何で謝るの?幼なじみなんだから水臭い事言わないでよ。」
優しく笑ってそう言って来るタロー君は、1つ年下なのにまるでお兄ちゃんのようにしっかりしている。
兄のコーヘーとは大違いだ。
何でアイツはあんなに鬼畜ヤロウに育ってしまったのだろうか。
思えば初めて会った時から性格が悪かった。
そしてそのままずーっとずーっと性格が悪いままに成長してしまった。
始めはただのキノコだったのに、今じゃすっかり毒キノコだ。マタンゴだ。
マリオでさえ除けるクリボーだ。
しかしそんな鬼畜なコーヘーだけども、決して嫌われている訳ではない、むしろ人気者だ。
そんな所もとんでもなく腹が立つんだけれど…。
特に女子からの人気はハンパない。
まぁ、腹しか立たないんだけれど…。
みんなあの毒にヤラれているんだ。
コーヘーは口が悪くてそっけないけれど、決して薄情という訳じゃなく、変に取り繕ったりしない男らしい所にみんな惹かれてるんだろうと思う。
まぁ、私に対してはもっと取り繕って欲しい所なんだけど。
遠慮なくブサイク呼ばわりしないで貰いたいんだけど。