恋するマッシュルーム
初めてだったけど、酔っていたせいか痛かった記憶もない。
そうだ、知らない間に終わっていて良かったんだ。
そう思おう。
不幸中の幸いだと思おう。
怪我の功名だと思おう。
ここまで前向きになれた自分に、アッパレだぜちくしょう。
「コーヘー思い出した、昨日の事は思い出したよ。だから、退いて。」
キノコなんかに、いつまでも組み伏せられていたくない。
だって、この体勢は恥ずかしいから。
昨日の情事をリアルに思い出しそうで嫌だから。
昨日の記憶を鮮明に思い出したくはない…、
だって自分の痴態を突き付けられているみたいで嫌なんだ。
だから一刻も早く離して欲しいのに、
相変わらず私を組み伏せて満足そうなコーヘーは、私の上から全く退く気配を見せない。
それどころか、今にも襲い掛かって来そうな凄艶なオーラを放ち出している。