恋するマッシュルーム
『オマエは2回なのにオレは1回だぜ?不公平だよなぁ?』
私を見下ろしたまま至近距離でそう囁くコーヘーは、私に毒を注入しようとしている。
2回とか1回とか…
もう何が公平で何が不公平なのか分からない。
コーヘーの毒に侵されて、私の思考回路はもうぐちゃぐちゃだ。
もう何も考えたくない…
っつーか考えられない。
考える事を諦めてもう目を閉じようと思ったら、コーヘーの顔がスローモーションで下りてきた。
「んっ……。」
目を閉じるのと同時に、唇に柔らかいコーヘーの感触。
そして落ちて来たキスは、甘くて少し苦しかった。
コーヘーにキスされたら、もうダメだ…。
この毒キノコにキスされたら、猛毒が体中に回って思考なんかフワフワと飛んで行ってしまう。
思考は溶けて行く一方なのに、反対にザワザワとして落ち着かない胸に、コーヘーがその猛毒で更にとどめを刺した。
『カナ、もう1回味わわせろよ。』