27年後の王子様
【壊れたマリちゃん】
金曜日。午後2時。
『みかづき屋』南沢町店のバックルーム。
今週はハピーズ飯崎店ではなく、こちらで仕事だ。
この日は路木さんも来てくれていて、休憩中にお見合い→初デートの話をすると、路木さんは苦笑しながら言った。
「それは災難だったねぇ。」
「本当ですよ!」
思い出すと、また怒りが込み上げてくる。
私はジャムパンに噛りついて、それから溜め息を吐いた。
「…でも、そのバイトの彼イイ奴じゃない。」
「…そうですかぁ?」
「若い白馬の王子様に、クラッときちゃった?」
「…まさか。」
まさか。……まさか、ね。