わたしとあなたのありのまま


「私もツケマとかしてみよっかな」

 トイレでの一部始終を話し、最後にそう締めくくる。

「いや、今の話聞く限りでは田所、アンチツケマ派だよね!?
 何故(ナニユエ)、あえてそれを?」

「はい、そのツッコミを期待してました」

 私は、田所がエリカ先輩に対して否定的だということを、綾子の口からも聞いて確信したかったんだ、きっと。
 我ながら根性悪いなと思ったら、つい苦笑が漏れた。


「田所ってさ、性格悪いんじゃなくて、不器用なだけじゃないかなぁ」

 ちょっと言ってみる。
 今の話を聞いた直後なら、もしかしたら綾子、同意してくれるかも、と期待した。

「はい、でたでた、恋する乙女千里眼。
 でもね、ほのかちゃん。
 残念ながら、あいつは正真正銘、性悪最低男だよ」

 ああ、やっぱりですか。
 わかってはいたはずなのに、ほんの少しがっかりした。


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