わたしとあなたのありのまま


 田所、叔父さんなんだ。
 新たなネタ入手に、またしても心が浮き立った。


「涼太、ありさ、お姉さんにご挨拶」

 志穂さんが呼ぶと、幼い二人はソファーから降り立って、恥ずかしそうにモジモジしながらも、志穂さんの元へとやって来た。


 志穂さんは身を屈めて二人に視線の高さを合わせると、

「何て言うんだった?
 さっき練習したでしょ」

 と声を潜めて言う。


「よろしくおねがいします」

 先に涼太くんが声を絞り出すようにして言い、ありさちゃんも少し遅れて同じように挨拶した。


 可愛いなぁ……


「こちらこそ、よろしくお願いします」

 丁寧にお辞儀をして私も挨拶を返すと、二人は顔を見合わせ照れ臭そうに笑った。


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