わたしとあなたのありのまま


「志穂さん、涼太くんたちがここに居ない方が、仕事はかどりますよね!?

 私たち公園でも行ってきましょうか?」

 私が提案すると、志穂さんは小首を傾げて考える仕草をし、

「そうねぇ、すごく有難いけど……
 もうすぐお昼だし。

 午後からそれ、お願いしちゃおうかしら」

 とまた悪戯っぽく笑った。


「すみません、来るのが遅くなってしまって」

 田所の『遅ぇよ』という文句をふと思い出し、謝った。

「やだなぁ、そんな意味じゃないってば」

 慌てて否定して、志穂さんは朗らかに笑う。
 私も志穂さんにつられて、自然と笑みがこぼれた。


 志穂さんはきっと、もの凄く情が深くて温かい人なのだろうな。
 そんな風に感じた。


< 117 / 318 >

この作品をシェア

pagetop