わたしとあなたのありのまま


 ジャングルジムの天辺に腰掛け、

「涼太くん、ありさちゃん、ここすごく眺めいいよ」

 と二人を見下ろして叫んだ。


 すぐさま二人は走り寄り、鉄の棒に手と足を掛けて登り始めた。

 なんて付き合いのいい子たちなのだろう。
 本当に可愛いです、大好きです。



「涼太! ありさ!」

 二人を呼ぶ女性の声が聞こえ、そちらに視線をやると、公園の入り口に志穂さんと作業着のままの田所が立っていた。


 涼太くんとありさちゃんは、すぐさま登りかけたジャングルジムを降り、大喜びで志穂さんの元へと駆けて行ってしまった。

 やっぱり、
 実の母には勝てないなぁ、と思うも、ほんの少し寂しさで胸がキュッとなる。


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