わたしとあなたのありのまま
うん、と返事をして、モタモタしながら必死に降りていると、
「どんくせぇな」
苛立たしげな田所の声が聞こえ、次の瞬間、私の身体も宙を舞う。
すぐに私の身体はストンと落ちて、足の裏に軽い衝撃を感じた。
振り返るようにして見上げれば、背後に立つ田所の不機嫌顔が間近にあって。
鼓動が高鳴る。
全身が激しく脈を打つ。
私の腰に添えられた田所の両手はすぐ、ほんの微かな温もりを残して離れ、それがとても残念で仕方がなかった。
私のそんな気持ちを、知ってか知らずか、田所はプイと顔を背け、遅れて身体も翻し、私に背を向け歩き出した。
走って追いつき、
「ねぇ、私、三千円で食べ放題の店知ってるよ」
と言うと、
「いいね。俺、六千円分食える自信ある」
田所は隣の私を見下ろして笑った。