わたしとあなたのありのまま
「あー、俺のクリス」

 芝居がかった口調で言い、田所はコントローラーをポイと放った。


 被っていたバスタオルの端を掴み、頭の上を滑らせるようにして剥ぎ取りながら、ようやく私に視線を寄越した。

「お前さぁ、いくらなんでも無防備すぎんじゃね?
 男の部屋でアホ面して爆睡とか」

 そう言って、大袈裟なぐらい呆れた顔をして見せた。


「『アホ面』なら危険度10パーぐらいじゃない?」

「ノー、3パー弱」

 即、否定。
 『弱』って何?


「私は田所のことが好きだから、
 田所にこの身を捧げる覚悟はできてるよ」

 ムカついたから、困らせるようなことを言ってみる。

 そんなのもちろん、田所はお見通しで、少しも動じることなく、

「なにが『アナタガー、チュキダカラー』だ。
 いつまでも寝ぼけてんじゃねぇ。ボコられてぇか」

 と返された。


< 128 / 318 >

この作品をシェア

pagetop