わたしとあなたのありのまま
「そんな発音してないし」

 ふて腐れて言い、再びベッドの上に、勢い良く大の字になって寝転んだ。
 踵がポウンと跳ねる。

「さぁ来い、田所。
 そして、身体目的でもいいから、私も田所の彼女にしてくれ」

 天井を睨み付けながら、真面目くさった口調で言ってやる。


 田所の大きな溜め息が聞こえた。
 顔を横倒して田所に視線をやると、田所は目を細めて冷ややかに私を見ている。

 そして重そうにその身体を持ち上げると、至極ダルそうにこちらへ歩いて来て、ベッド端にドッカリと腰を落とす。


 田所は未だ上半身裸のまま。
 湿り気を残した髪は、もう収拾不可能なほどボサボサで。

 だけどもそれが、妙な色気を醸し出していて、私の意に反して顔が熱くなる。


 田所は、ベッドに片腕を突き立てて上体を捻り、振り返るようにして私を見下ろした。


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