わたしとあなたのありのまま
「あのさ、今から大事なこと言うから、その腐った脳みそなんとか起動させて、よ~く聞いて?

 君もメルヘン遥かに超えてホラーな妄想ブチかましてるみたいだから、あえて言わせて貰うけども、

 君の身体、『目的』にもなりませんから」

 田所は涼しい顔で、ツラツラと憎たらしい言葉を紡ぎ出す。


 言い返す言葉が見付からなくて、ブウたれることしかできなかった。


 そんな私を見て、田所は満足気に微笑み、

「起きろ。肉食いに行くぞ」

 と言って立ち上がった。


 起き上がってベッド端に腰掛け、Tシャツを頭から被る田所を見ていた。


 不意に隣の部屋から、女性の悲鳴のような声が微かに聞こえてきた。
 それが、喘ぎ声だと気付くのに、大して時間はかからなかった。

 こちらの部屋は確か……


 ゆきさん。


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