わたしとあなたのありのまま


 田所の気持ちを私に向かせるとか……
 どうしたらそんなことができるのだろう。

 田所の『気持ち』は、ゆきさんで一杯なのに。
 私が田所で一杯なように。


「じゃあ、どうしたら……
 どうしたら私のこと好きになってくれるの?

 わからないよ。
 だから田所、教えてよ。

 頑張るから。
 一生懸命頑張るから」

 みっともないほどに泣きじゃくり、しゃくり上げながら訴えた。


 そんな私を見て、田所が目を見張る。
 そうして田所は、また傷ついた顔をした。


「ごめん、ほのか」

 不意に、私の耳をそっと撫でるように、田所が優しく囁いた。


 どうして?
 どうして謝るの?


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