わたしとあなたのありのまま


 田所の唇が、私の視界を埋め尽くし、思わず瞼を伏せた。
 私の左瞼の上に、とても優しくて、柔らかい感触を田所はくれた。

 そしてそれは、涙の跡を辿るように、何度も何度も私の左頬に落とされる。


 やがて……

 その甘美なまでに心地よいキスは、「やっと見つけた」とでも言わんばかりに、私の唇へと到達した。

 何度も何度も角度を変えながら、重ねられる唇に、私の意識は朦朧とする。


 キスをくれながらも田所は、私のブラウスのボタンを、上からポツン、ポツンと器用に右手だけで二つ外す。

 そうして鎖骨を伝うようにして、ブラウスの中へと右手を滑り込ませた。
 はだけられた襟元へと田所の唇は移動し、露になった首筋から肩のラインを、そっと撫でるように伝った。


 それが無性にくすぐったくて、イヒヒ……と変な声を漏らして、思わず身体を捩ってしまった。


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