わたしとあなたのありのまま
 田所はピタリと動きを止め、ゆっくりと顔を上げた。


「なに今の?」

 言って、いつもの冷ややかな視線を私に注ぐ。


「だって、こそばゆくて……」

 正直に答えると田所は、はだけられたブラウスをサッと元に戻し、今度は両手で丁寧にボタンを留め直してくれた。

 そして、クルリと私に背を向け、床に腰を落として胡坐をかいた。


「ヤベッ、血迷った。
 危うく俺、ブタとやるとこだった。
 あっぶねぇ」

 首がもげそうな程うな垂れて、ブツブツと独り言のように呟いた。


 田所が動揺しているのがヒシヒシと伝わってきて、思わず笑い声を漏らしてしまった。


「てめ、何笑ってんだよ!?
 オモロイことなんか、一個もないし。
 ふざけんな」

 俯いたまま田所が言う。


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