わたしとあなたのありのまま
 ほんの少しの間、頬杖をついたまま、綾子は無表情で私をジッと見詰めていたけれど、突然何かに気付いたように、「え?」っと目を見開き、顔を支えていた手から顎を浮かせた。

「じゃあ、何?
 ほのか、田所と付き合うことになったってこと?」

「ああ、もう。
 またファンタジーな方向へ……
 違うんだってば、だぁかぁらぁ」

「何が違うのよ!?」

 綾子は何故だか不満顔。
 なんか、ちょっと面倒くさくなってきた。
 言わなければ良かった。


「誰と誰が付き合うことになったって?」

 声がした斜め後ろを振り向くと、男子の胴体に視界を埋め尽くされ、見上げればニヤつく山田の顔。
 いつの間に……

 綾子の表情がパッと華々しく輝き、

「聞いてよ、山田。
 田所とほのかが……」

 などと口走り出したので、慌てて、「あ~~~~!」と叫んで妨害した。

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