わたしとあなたのありのまま


 食堂は騒然としていた。


 到着する前から、椅子か何かが倒れる音や、女子の悲鳴やらが嫌でも耳に入った。
 食堂に入って実際の光景を目にして、私は言葉を失った。


 田所が椅子ごとひっくり返っており、その傍らには山田がもの凄く恐ろしい形相で立っていた。

 けれども田所は、左頬を赤く腫れ上がらせながらも、相変わらずの涼しい顔。
 そして、少し離れた場所に、微かに震えながら立ちすくむエリカ先輩がいた。


 他の生徒たちは直前に避難したらしく、山田と田所の周囲は、丸くくり抜かれたように人のいない空間が出来上がっていた。


「オラ、立てよ。
 表出ろっつってんだろーが」

 山田が低く唸る。
 こんなガラの悪い山田、初めて見た。

 どうせ田所がエリカ先輩とお昼を食べているところを見て、激怒したってとこだろう。
 そうだ、だから山田に知られたくなかったんだ。
 今、はっきりわかった。


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