わたしとあなたのありのまま
 ああ、もう、この二人、本当に面倒くさい。
 そして、うざったい。

「もうやめてって言ってんのっ!
 私を取り合って喧嘩とか、ほんと迷惑なんだからね」

 冷たい廊下に伏せたまま、私が叫ぶように言うと、

「取り合ってねぇし」

「お前なんか取り合うか! ボケ、カス、ブタ、それ以上ふざけると丸焼きにすっぞ、バーカ」

 二人同時に全否定。
 もちろん、小学生坊主のような悪口を長々と並べた方が田所である。


 田所が身を引いたので、頭は両手で抱えたまま、恐る恐る顔を上げると、山田が顔を背けて俯いた。
 笑いを堪えているらしく、肩が小刻みに震えている。

 私の期待通りのリアクションではあったけれど、それでもやっぱり腹が立つ。


 田所は難儀そうに立ち上がると、私と山田を冷ややかに見下ろした。

「どこ行くの?」

 私も見上げ返して尋ねた。

「保健室。
 こんなとこいたって仕方ねーし?
 寝てくるわ」

 答える田所はいつもの涼しい顔。


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