わたしとあなたのありのまま


 田所は、怒っていても優しいのだ。


 そんな風に思ったら、胸がジンと熱くなった。


「泣くなよ?」

 そう言って田所が困ったような顔をしたので、自分が泣きそうな顔をしているのだと気付く。
 だから、「泣かないよ」と返して笑った。


 不意に田所が起き上がり、裸の上半身に視界を埋め尽くされて、ドキリとした。
 細身なのに逞しい。

 綺麗だ、とても……


「服取って」

 と言われ、田所に見惚れていた私は、ハッと我に返る。

 田所も、全裸を私に見られたくないのだ。
 ノーパン状態の私のスカート、捲ったくせに。


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