わたしとあなたのありのまま


 なんだそれ。

 腹を立てて振り返ったら、私を包んでいた田所の両腕が解けて。
 その途端、とてつもなく寂しくなった。


 ベッド端に腰掛けた田所が、そんな私を不思議そうに見下ろしている。


「ごめんね」

 思わずまた謝ってしまった。

「だから、謝んなっつーの」

 苦笑しながら田所は言う。


「でも、田所を励ましたくてここへ来たのに。
 私って、やっぱほんと、役立たずだわ」

 そう言って笑ったのだけど、目からは涙がポロポロ零れ落ちた。
 きっと、悔しかったのだと思う。


「だから泣くなっつってんのに。
 ほのかはなんでこうも、俺の言うことが聞けねんだよ!?」

 言いながら、田所はベッドの上からストンと床に腰を落とした。


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