わたしとあなたのありのまま
「今日、バイト?」

田所が笑顔のまま尋ねた。もしかして、私のことを聞いている?


「うん、入ってる」

答えると、

「じゃ、持ってくわ」

それがあたかも当然のようにサラリと口にすると、クルリと身を翻し、田所の背中はあっと言う間に遠ざかった。



私があのコンビニの店員だって、覚えていてくれたことが嬉しい。


たったそれだけで、さっきの田所の不愉快な態度の数々が帳消しになるぐらい――



すごく嬉しかった。


< 22 / 318 >

この作品をシェア

pagetop