わたしとあなたのありのまま
その夜、私のバイト先のコンビニへ、本当に田所はやって来た。あの小さな兄妹は、今日は連れていない。



田所は私の携帯を、商品のガムと一緒にレジカウンターの上に無言で置いた。

「ありがと」

とりあえずは礼を言い、それを履いていたジーンズのバックポケットに突っ込み、ガムの清算を済ませた。


田所は「ん」とだけ返し、ガムを裸のまま受け取ると、さっさと店を後にした。



なぜ終始無言? 理由もなくがっかりしてしまって――

泣きたくなった。




その数分後、ポケットに突っ込んだ携帯がけたたましく鳴り出した。ビクンと心臓が跳ね上がり、咄嗟に携帯を取り出し、通話ボタンを押してしまった。


そうして、レジカウンターの陰に隠れるように、しゃがみ込む。



履歴を確認する間もなく電話に出てしまったので、ビクビクしながら小声で「もしもし?」と言った。


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