わたしとあなたのありのまま
　てるやくんは、お腹を押さえながらも、空いている右手で、しゃがんでいる田所の腕を掴んで、重そうに持ち上げて田所を立たせた。

「このタンチンは、俺が責任持って家まで輸送するから。
　あ、『タンチン』ってのは、短いチンって意味ね」

　私と綾子に向かってそう言い、悪戯っぽく笑った。
　今、サラリとシモ発言した？
　気のせいかな。


「放せって、俺はほのかと……」

　逃れようと暴れる田所のその腕を、てるやくんはガッツリ抱え込んだまま歩き出した。

「はいはい、あたし、ほのか。
　悠斗くん、一緒に帰りましょ」

　めんどくさそうに言い、

「あ～あ、
　俺も誰でもいいから、セックスしてぇ～」

　と、その中性的な顔には全くもって不似合いな、お下劣なセリフを吐いた。
　せなくんが苦々しく舌打ちし、その言葉は、せなくんへの当て付けだったのだと気付いた。


< 243 / 318 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop