わたしとあなたのありのまま


「お友達と仲良しなのは、よ~くわかったよ。
 でもさ、あんな……」

 不意に、店の外に連れ出されて田所にされたこと(『耳の中に何かが!』事件)を思い出して、顔が熱くなった。
 あの時は、本気で嫌だって思ったけれど、今思い出すと何だかドキドキする。
 どうなっているんだ? 私。


「なに赤くなってんの?」

 綾子がすかさず問う。

「いや、別に。
 そういえば、なるちゃん、どうなったんだろ?」

 慌てて話題を変えてみる。

「なるなら、お望み通りせなくんに食われたみたい。
 メチャクチャ舞い上がってて、手が付けられん。
 超めんどくさい」

 眉根を寄せて、不快感剥き出しで答えた。

「マジか」

「マジだ」


< 248 / 318 >

この作品をシェア

pagetop