わたしとあなたのありのまま


 昨日参加した女子たちが目ざとく気付き、「昨日はありがとう」「楽しかった」など、お礼の声が田所に向かって飛び交う。

 それに対して「ども」などと、いちいち愛想よく答える田所にも、何故かムカついた。


 食事を終えたばかりの私と綾子の傍らに立ち、

「ミネ子ちゃん、てるやが話あるって」

 まず綾子に向かってそう言った。

 ふじこちゃんがミネ子ちゃんに変わっている。
 別にどうでも良いけど。


「何だろ?」

 綾子は私を見ながら首を傾げると、立ち上がった。

「何だろうね」

 と、無理やりに微笑んで見せた。
 愛の告白だろうと思いますよ、綾子さん。

 綾子って、他人のことに関しては、いつも見事な分析をし、全てお見通し的な感じなのに、自分のこととなると、全く持って鈍感無自覚なのだね。


< 250 / 318 >

この作品をシェア

pagetop