わたしとあなたのありのまま



「ほのか、凹みすぎっ」


 田所の姿は、もうそこにはない。
 それなのに、教室の出口を眺めてボサッと突っ立ったままの私に、綾子が私だけに届くぐらいの、絞った音量でボソリと言った。


 見回せば、女子たちの視線が、チラチラと遠慮がちに私に向けられている。

 昨日、手を挙げて参加を宣言したみぃたんが、パックのいちごミルクに刺ささったストローから唇を外すと、

 クスリ――

 声にならない笑いを漏らした。


 惨めだ。

 田所の彼女だなどと、とんでもない勘違いをした『おバカな女子』が、一緒に帰ろうと誘って、あっさり断られたの図。


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