わたしとあなたのありのまま
「秋山!」

 不意に名を呼ばれ、声がした方を見れば、窓際に立つ山田が私に向かって悪戯っぽい笑みを浮かべている。

「野生の猿が校庭に迷い込んでる」

 山田はそう言って手招きをした。


 意味不明ではあるが、気になってつい、そちらに吸い寄せられるように移動し、山田の隣に立った。
 そうして運動場へと窓越しに視線をやる。


「ほんとだ」

 山田と顔を見合わせて笑った。


 広い運動場を、所狭しと元気に走り回るお猿さんたち。
 田所と愉快な仲間たちだ。


< 262 / 318 >

この作品をシェア

pagetop