わたしとあなたのありのまま
「何やってんだろ?」

 言いながら、すぐさま窓を開け放ち、ベランダへ出た。
 鉄柵に両手を引っ掛けて見下ろす。

「ドロ警(泥棒警察)じゃね?」

 山田も私のすぐ隣に同じようにして並んだ。


 ああ、本当だ。
 追う人、逃げる人、半々に分かれているみたい。


 田所が運動場の端っこの手洗い場の陰に身を潜めるようにしてしゃがんだ。
 私のところからは丸見えで、なんだか間抜け。
 思わず、フフッと笑ってしまった。


「笑うなって。
 見ろよ、あの真剣な顔」

 そう言う山田も、クククと笑う。

「山田も笑ってんじゃん」

 視線は田所にロックオンしたまま、そう返してやった。


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