わたしとあなたのありのまま
 途端、田所が弾けたように立ち上がって駆け出した。
 校舎の麓、私たちの真下まで来ると、

「山田、てめぇ、ほのかから離れろって!」

 と大声を張り上げた。

 山田は私の方を向き、「な」と得意気な顔。
 そうして、私の肩の上からスルリと手を落とし、身体ごと離れてくれた。


 と、田所の背後から、また別の警察チームの誰か(こちらも名前は知らない)が迫っていた。

「田所、危ない!」

 思わず身を乗り出して叫んだ。
 何、熱くなっているんだか。

「逮捕ー!」

 名前を知らない誰かに、田所は後ろから抱きすくめられた。

「あー、もう……」

 無意識に嘆きを漏らしてしまった。
 だから、何、熱くなっているんだ、私。


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