わたしとあなたのありのまま
あれからずっと、私の携帯の待ち受け画面には、寝起き田所が居座っていた。
綾子に見付かって、
「あんた、そんなもん待ち受けにしてたら、田所ファンだと誤解されるよ」
などと忠告を受けた。
「誤解じゃないよ」
と言ってやると、「はぁ?」とダイナミックに驚いた顔をされた。
「どうしてあんな性悪男……。いいのなんか顔だけじゃん」
「見てるだけで幸せなんだもん。顔さえ良ければ、それでいいの。それ以上も、それ以下も求めませんよ、私は」
「意味不、笑止、バッカみたい」
現に、あれから一ヶ月近く経つというのに、田所とは一切絡みがない。というか、田所と絡む機会なんか、あるわけがない。
だから、どんなに性格悪くたって、至って無害なのだ。
けれどもそんなある日、たまには食堂でお昼を食べたいと綾子が言い出し、綾子に付き合って一緒に食堂へ行った私はそこで――
田所とエリカ先輩に遭遇した。