わたしとあなたのありのまま
「みね子ちゃんもどうっすか?
てるや、喜ぶし」
悪戯っぽく笑って、田所は隣の綾子にも声をかける。
「行かない」
涼しい顔で答え、綾子はさっさと靴を履き終えた。
私も田所の手を押し退け、強引に靴を引っ張り出して足元へ放ると、素早くそれに自分の足を突っ込んだ。
「私も行かない」
早口で吐き捨て、小走りで綾子の背中を追った。
昇降口を出たところで、背後から腕を掴まれ、グイと後方へ引っ張られた。
私の身体は逆らうことなく、半回転。
上履きのままの田所と至近距離で向き合ってしまった。