わたしとあなたのありのまま
「まだ怒ってんの?
お前、相当しつこいな」
田所は困ったように笑う。
私が怒っている理由、わかっていないくせに。
「怒ってるよ。
だって田所、『一緒に帰れない』って言ったじゃん」
「ああ、そっちか。
状況が変わったんだよ。
その辺はお前も臨機応変に……」
最後まで聞かずにクルリと背を向け、再び歩き出した。
拗ねているんだ、私。
そんなガキくさい自分が、嫌になるけれど、この苛立ちをどうにも自分で処理できない。
「チッ」
舌打ちが聞こえたと思ったら、私の身体が宙に浮いた。
お腹には田所の右腕が巻きついていて。
私は背後から田所に抱き上げられていた。