わたしとあなたのありのまま
込み上げる嫌悪感に、自分の顔が引きつっているのがわかる。そんな私を見て田所は、何故だか満足そうに微笑むと、

「だから、早く俺のこと嫌いになってね、ほのかちゃん」

未だかつてないほどの優しい口調で、残酷な言葉を吐いた。



やっぱり田所は、私の気持ちに気付いていた。気付いていてあえて、私に嫌われるような言動をとっているんだ。


それほど私の気持ちは、田所にとって迷惑なのかな。



「田所なんか、最初から嫌いだし。やっぱハゲろ、デブれ、メガネかけろ」

泣きそうな気持ちを紛らわせようと、思いつく暴言を田所にぶつけた。


田所はまた笑って、

「生意気なんだよ、お前はっ」

言いながら、私の首に腕を巻き付けて引き寄せると、空いているほうの拳を、私のこめかみにグリグリ捻じ込んだ。


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