わたしとあなたのありのまま


「つまんねぇ」


 田所が抑揚なく言った。


「つまんねぇよ、お前」

 もう一度言い田所は、弾かれたように素早くベッドから降り立った。


 カーテンを少し開けたところで振り返り、

「頑張ってみれば?」

 冷ややかに私を見下ろして言う。


「どうして……
 どうしてそんな風に、他人事(ヒトゴト)みたいに言うの?」

 自分に片想いをしている人に向かって、『頑張ってみれば?』なんて、どう考えてもおかしいよ。

「だって、
 他人事だから」

 薄ら微笑んで、田所は静かに言った。

 その微笑みは、とても冷たくて、
 まるで氷のように冷たくて、

 私の体温を瞬時に奪っていった。


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