わたしとあなたのありのまま
「それより、
 あれからしばらく田所戻って来なかったけど、お前ら、いけないことしてたんじゃないだろうな?

 保健室っつったら、ほら、ベッドあるわけだし?」

「山田、ふざけんな!」

 すかさず綾子が山田の後頭部をはたいた。


「いてぇな、チキショー。

 お前、売店行かなくていいのかよ!?
 爆弾オニギリ、売り切れっぞ」

「しまった、忘れてた。
 ちょっと行ってくる! 
 ほのか、先食べてて」

 慌てふためいて、綾子は教室を駆け出して行った。


 綾子の後姿を見送ったら、無意識にため息がこぼれた。

「やっぱ、なんかあっただろ?」

 全てを見透かしたように、不敵に微笑んで山田が言う。
 当てずっぽうで言ったのかもしれないけれど、妙に痛いところを突いてくる。

 山田のくせに、勘が鋭いとか、
 なんだか不愉快。


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