わたしとあなたのありのまま
 それで田所は、綾子について、わざわざここまでやって来たのかな?
 一体、何の為に?


 綾子もどうしたら良いのかわからず、動揺している。
 クラスメートの視線も痛いし。

 田所自身は、目立つつもりなど更々ないだろうけど、田所の場合、その存在自体が人目を惹くということを、もっと自覚すべきだと思う。


「なにお前、ピンピンしてんじゃん」

 第一声がこれだ。
 でも……

「心配してくれたの?」

「うん、心配してくれた」

 身を屈めて私に顔を近付け、憎たらしい顔で言う。

 もう私、田所の感じ悪い態度に対する免疫ついてますから。
 だから、平気。
 だからもう、泣かない。


「あんなこと……
 言っちゃったから?」

「何のことでしょう?」

 意地悪く微笑んで、田所は聞き返す。


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