わたしとあなたのありのまま
「なってない。
 てか、今のコレでなったし」

 ブンブン揺られながら、言い返すと、田所はピタリと動きを止めた。
 そして私の頭を両手で挟んだまま、ジッと見詰める。

 みるみる顔が熱くなる。
 私の顔、今きっと真っ赤だね。

 でも目は逸らさない。
 逸らしてやるもんか。


「いいよ、じゃあ、場所変えますか?」

 そう言って、ようやく田所は私を解放し、プイと私に背を向け歩き出した。



 どこへ連れて行かれるのかと思いきや、告白の定番スポット、屋上――

 ――は立ち入り禁止なので、その入り口扉の前でした。


 階段から立ち入り禁止になっているので、確かに誰も来ないけれど、とても無機質で寂しい場所だった。


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