わたしとあなたのありのまま
「ありがとうございました」
客に礼を言いながら、タバコとペッドボトルを入れたレジ袋を渡す。
本日もバイトです。
貧乏暇なしです。
働かざる者食うべからず、が母の口癖。
重い……
不意に店の電話のコール音が店内に鳴り響く。
商品出しをしていた、パートタイマーの三枝さんが、
「ゴメン、秋山さん、出てもらえる?」
手を休めることなく、私を振り返って言うので、「はい」と答えながら受話器を取った。
「お電話ありがとうございます……」
マニュアル通りに店の名を名乗った。
「配達お願いしまーす」
妙に楽しげな男の声が受話器から聞こえた。
意味がわからない。
でも、声の主はわかる。
田所だ、間違いない。