わたしとあなたのありのまま


 バイトは(PM)8時までだと伝えると、家の場所は後で説明すると言って、田所は電話を切った。



 終わったらメールしろとも言われていた私は、スーパー●ップくんを買ってから田所にメールを送った。

 すぐに田所から着信があった。
 私から掛けさせないように、という気遣いなんだろうか?
 まさかね。


「まずはコンビニの前の道を、肉屋に向かって真っ直ぐ」

 まどろっこしい説明に、イラっとした。

「ねぇ、近くになんか目印ないの?」

 聞くと、「ない」と少しも考えることなく即答。
 しぶしぶ田所ナビゲーションに従って、携帯片手に自転車を走らせた。


 5分ほどして辿り着いた田所の住処(スミカ)は、決して新築というわけではないが、小ぢんまりとした感じの良い二階建てアパート。


 駐輪場を見付け、そこに自分の自転車を停めさせてもらう。

「にぃまるさん(203)」

 電話越しの田所が、部屋番号を告げた。
 わざわざ来てやったのに、愛想のかけらもない。


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